本作は「幻想藝術考7」展に向けて制作しました。
書籍に掲載されていたドイツの神学者/マルティン・ルターの言葉に着想を得ての制作です。
展示では黒の額に入れるのですが、せっかくなので額そのものを活かせないかと考えていました。そこで、室内を窓の外から覗いた画面になるように構成してみました。額が窓枠のイメージですね。
構成としては面白いチャレンジになったのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
展示構成は完成させられたのですが、制作面では反省点もありました。
描き込みを行うブラシを、以前のものに戻したほうが良さそうだというものです。
ここしばらくの制作では、表情のない平行四辺形のブラシを使っていました。このブラシは、自分の感覚にあっていたらしく、シルエットからラフまでの工程では効果的でした。
背景制作の参考資料から得た「境界線をはっきりさせると、製作速度が上がる」という仮説の検証の意味もあり、先のブラシを描き込みにも使っていましたが、結果からいえば失敗でした。
先のブラシで描くと、画面上ではきれいに見えます。しかし、印刷してみるとブラシのエッジが残りすぎてしまい、精度の上がったラフ程度にしか見えませんでした。
この段階でいつもと同程度の時間を使っていましたが、今回は更に描き込みに時間を描けてしまいました。当初は2周間の製作期間を予定していましが、実際には一ヶ月近くかかってしまいました。
後から考えてみると、印刷物に比べ、画面の解像度は低くなります。
印刷所への依頼は基本的に350dpi以上であるため、基本的にはこの解像度で制作を行っています。印刷確認のときもそのままのデータを出力して確認します。
対して現在使っているディスプレイのppiを計算してみると96ppiでした。
※dpiはファイルとしての情報密度、ppiは画面の情報密度を示す。
おおよそ1/4に画質が落ちるなら、細かなエッジは画面上ではつぶれてしまいます。
画像サイズを小さく落とした際に、少しボケるのと同じ状態だったのでしょうね。
4倍に拡大すれば、実際の解像度で見れるのでしょうが、そこまで拡大してしまうと今度は描くことができません。現実的ではありません。
以前に比べれば、高解像度モニタも手を伸ばそうと思える価格になってきましたので、制作用のディスプレイを買い直しても良いかもしれませんね。
ブラシの話に戻ります。
今回試したところでは、平行四辺形のブラシを描き込みで使うなら、あくまで境界を整える程度にし、それ以外は以前に使っていたPhotoshop標準の木炭ブラシを使うのが良さそうでした。
木炭ブラシなど表情のあるブラシでは、印刷した際にブラシのエッジ端で並置混色が起こるため、より多くの色が見えます。印刷を考慮するのであれば、表情のあるブラシで描くほうが、より効果が高そうですね。
自分がイラストに求めているのは、色の豊かさです。
制作速度の向上を目指して、ラフ用に作ったブラシの可能性を探ってきましたが、改善の向上の方向性を修正したほうが良さそうですね。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って
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