この記事では厚塗りでの色の選び方についてまとめます。
魅力的なイラストを観ていると、光があたる部分、影に入る部分で、使われている色に幅があるんですよね。
そんな画面を自分でも作れるようになりたいと考え、試行錯誤してきました。
一旦説明ができそうなところまで、情報が整理できましたので、まとめます。
サンプルは厚塗りで描いていますが、色相のずらし方、色の幅の作り方は他の塗り方にも応用が効くと、考えています。
また、光源設定については最後にまとめています。
目次:
明暗の着色は3つの要素で考える
光と影を考えるときは、「輝度」「距離」「色相」の要素で考えています。
順番に見ていきましょう。
輝度による明暗
輝度に明暗は、わかりやすいと思います。
明るい部分は白に近づき、暗い部分は黒に近づきます。
描き始めの頃は、輝度を中心に明暗を考えていました。
着色でも同じ色相内で輝度を変えて使っています。
リアリティを出すために彩度の低い色を中心に使っていますね。ただ、輝度の幅が少なく平面的な印象です。暗い色をうまく使えていません。
- 黒を使わないの?
- 平面的でなんか遠く見える?
黒を避けていた理由は、彩度の低い画面上での存在感にありました。
彩度の低い画面に黒を置くと、その存在感に驚きます。当時はそれをうまく扱いきれないと感じ、輝度80%くらいの範囲で色を選んでいました。
なぜ、黒はこんなにも存在感が強いのか?
ここについては距離感についての対策を調べていた際にわかりました。
彩度による距離
彩度と距離の関係は「空気遠近法」と「消失遠近法」を調べることでわかりました。
「空気遠近法」の考え方では、近くのものは、濃く鮮やか。 遠くのものは、薄く灰色っぽくなります。
「消失遠近法」の考え方では、近くのものは、くっきりと見え、遠くのものは、境界が曖昧でボケて見えます。
当時は濃い色を避けており、近景、遠景ともに彩度の低い色を選んでいました。そのため、上記2つの遠近法の効果が出てしまい、全てが遠景になっていました。
黒は彩度の点から距離感が消失します。(※数値的には変化させられても、見た目で判別がつかない)つまり、黒は要素としては近景になります。
彩度の低い遠景の画面で、黒という近景の要素を扱おうとしていたため、「バランスが悪い、扱いづらい」と感じていたんですね。
色に寄る距離感を考えるようになってから、色の選び方を変え、下記のように選ぶようになりました。
「近いモノの影には濃い色を選ぶ」と考えると、わかりやすいと思います。
色相での明暗
魅力的なイラストを観ていると、一つのモノの中でも、使用されている色の多さに気づきます。
ただ、一つ一つの色を都度選び、画面に置いていくのは時間がかかります。
解決のヒントになったのは、アナログの手法で描かれたイラストや絵画でした。
直射日光の下で描かれたモノを観察してみると、光のあたる部分には黄色に近い暖色が使われ、影の部分には寒色が使われていました。
結論からいえば、「光は黄色に近づき、影は青に近づく」となります。
これをデジタルで再現する場合、固有色を乗せた後、光があたる部分は明るい黄色をオーバーレイで乗せ、影の部分には、薄い青を乗算するとうまく行きます。
また、立体を意識し、グラデーションを作ることで、色相が変化し、画面内の色にも幅を作ることができます。
この考え方では、隣り合う色は基本的に同系色となり、馴染みやすい色の変化になります。
※ サンプルでは色の変化がわかりやすいよう、色味が強く出るように調整しました。作品の雰囲気に合わせて、調整しましょう。
上記の方法を実践してみると、色の変化は色相環に沿っていることがわかります。
作品を制作する中では、微調整も必要になりますが、その都度レイヤー効果を使っていると時間がかかります。
光がほしいところでは、今の色から黄色へ色相環を寄せる。
少し影に落としたければ、青へ寄せる。
この考え方で、色相環をずらせば、素早い調整ができると考えます。
最後に光源の話
現在採用している厚塗りでは、光源の設定が大切になります。
今回想定しているのは晴天の日光です。考えやすい光源なので、練習に使うには最適です。
この光の下では、色相環はナチュラルハーモニーになります。黄色のオーバーレイと、青の乗算はこの考え方に沿うものです。
実際の制作では、反射光など、色の乗った光を扱う必要もありますが、一度に扱うには量が多いため、今回は省略していることを、ご了承ください。
下記の動画も、今回の考え方で描いているので、よかったら見てみてください。
制作した作品群を「GALLERY」へまとめていますので、ご参照いただければと思います。
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「厚塗りで光と影を描く際の色の選び方」への2件のフィードバック
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