光と影を描く際の色の選び方

色選びのここまでのまとめです。

魅力的なイラストを観ていると、1つのモノの中でも光があたる部分、影に入る部分で、使われている色に幅があるんですよね。

そんな画面を自分でも作れるようになりたいと考え、試行錯誤してきました。
一旦説明ができそうなところまで、情報が整理できましたので、まとめます。

サンプルは厚塗りで描いていますが、色相のずらし方、色の幅の作り方は、他の塗り方にも応用が効くと、考えています。

また、光源設定については最後にまとめています。


明暗の着色は3つの要素で考える

光と影を考えるときは、「輝度」「距離」「色相」の要素で考えています。

順番に見ていきましょう。


輝度による明暗

輝度に明暗は、わかりやすいと思います。
明るい部分は白に近づき、暗い部分は黒に近づきます

球体のラフ
球体のラフ

描き始めの頃は、輝度を中心に明暗を考えていました。

戦鎚
戦鎚(2014年ごろ)

彩度の高い色を避けていたのは、リアリティを出したいと考えていたためです。現実を観察し「原色は少ない」と感じていたため、それを自分のイラストに取り入れていました。


輝度による陰影はわかりやすいのですが、2つの点から改善が必要になりました。

  • 明暗の差が作りにくい
  • 平面的で距離感が出ない(遠く感じる?)

1つ目の「明暗差が作りにくい」というのは、彩度の低い画面上での、黒の存在感にありました。

黒を彩度の低い画面の中に置くと、存在感が強すぎ扱いきれないと感じ、影を描く際も黒を避け、輝度80%くらいまでの色を選んでいました。

色の選び方_昔
色の選び方_昔

黒の存在感の強さについては、2つ目の問題点「平面的で距離感が出ない(遠く感じる?)」の対策を調べていた際にわかりました。ここは、次項でまとめます。


彩度による距離

彩度と距離の関係は「空気遠近法」と「消失遠近法」を調べることでわかりました。

空気遠近法」の考え方では、近くのものは、濃く鮮やか。 遠くのものは、薄く灰色っぽくなります。

消失遠近法」の考え方では、近くのものは、くっきりと見え、遠くのものは、境界が曖昧でボケて見えます。

当時は濃い色を避けており、近景、遠景ともに彩度の低い色を選んでいました。そのため、上記2つの遠近法の効果が出てしまい、全てが遠景になっていました

黒は彩度の点から距離感が消失します。(※数値的には変化させられても、見た目で判別がつかない)つまり、黒は要素としては近景になります。

遠景の画面で、近景の要素を扱おうとしていたため、「バランスが悪い、扱いづらい」と感じていたんですね。

色に寄る距離感を考えるようになってから、色の選び方を変え、下記のように選ぶようになりました。

色の選び方_今
色の選び方_今

「近いモノの影には濃い色を選ぶ」と考えると、わかりやすいと思います。


色彩

魅力的なイラストを観ていると、一つのモノの中でも、使用されている色の多さに気づきます。

ただ、一つ一つの色を都度選び、画面に置いていくのは時間がかかります。

解決のヒントになったのは、アナログの手法で描かれたイラストや絵画でした。

直射日光の下で描かれたモノを観察してみると、光のあたる部分には黄色に近い暖色が使われ、影の部分には寒色が使われていました

結論からいえば、「光は黄色に近づき、影は青に近づく」となります。

これをデジタルで再現する場合、固有色を乗せた後、光があたる部分は明るい黄色をオーバーレイで乗せ、影の部分には、薄い青を乗算するとうまく行きます。

黄をオーバーレイし、青を乗算する
黄をオーバーレイし、青を乗算する

また、立体を意識し、グラデーションを作ることで、色相が変化し、画面内の色にも幅を作ることができます。

この考え方では、隣り合う色は基本的に同系色となり、馴染みやすい色の変化になります

グラデーション調整後の各部分の色
グラデーション調整後の各部分の色

※ サンプルでは色の変化がわかりやすいよう、色味が強く出るように調整しました。作品の雰囲気に合わせて、調整しましょう。

上記の方法を実践してみると、色の変化は色相環に沿っていることがわかります。


作品を制作する中では、微調整も必要になりますが、その都度レイヤー効果を使っていると時間がかかります。

光がほしいところでは、今の色から黄色へ色相環を寄せる。
少し影に落としたければ、青へ寄せる。

この考え方で、色相環をずらせば、素早い調整ができると考えます。

色相環での光と影
色相環での光と影

最後に光源の話

現在採用している厚塗りでは、光源の設定が大切になります。

本文内でも少し触れましたが、今回想定しているのは晴天の日光です。
考えやすい光源なので、練習に使うには最適です。

この光の下では、色相環はナチュラルハーモニーになります。
黄色のオーバーレイと、青の乗算はこの考え方に沿うものです。

実際の制作では、反射光など、色の乗った光を扱う必要もありますが、一度に扱うには量が多いため、今回は省略していることを、ご了承ください。


下記の動画も、今回の考え方で描いているので、よかったら見てみてください。

投稿者: 0.1

イラストレーター/0.1up project主催者 イラストは厚塗りで制作しています。 厚塗りは、他の手法に比べ、「存在感や重さ、質感による説得力」をより表現できるツールと考えています。 漫画をベースにした、現環境では主流から外れていると思いますが、世界観を広げる為には、厚塗りの要素もスパイスになるのではないでしょうか。 「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。