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西遊記のキャラクタの原型です
制作に際して「女性キャラ」「仏教の天部」というリクエストをいただきました。
天部について調べると、名前を見聞きしたことがある神様が多い中、今回の深沙大将は聞いた覚えがありませんでした。
全く知らないモノを調べるのは面白そうなので、その旨をお伝えしたところ、快くGOを出していただけました。ありがとうございます。
深沙大将は砂漠に現れ危難を救うとされる鬼神です。
厳しい形相をした神様が多い天部の中でも、際立って激しい表情をしています。
特徴としては、腹部の顔、左手に巻き付く蛇、そして象の頭部の革で作られた膝当てをしていることです。
膝が象の頭部と同じ大きさですから、巨大な神様ですね。
名前は全く知らなかったのですが、意外なところで自分の知っているキャラクターとつながっていました。西遊記の沙悟浄です。
元の伝説では、玄奘三蔵のインドへ旅の中、砂漠で水不足から生死の境をさまよった際に現れ、この旅は厳しすぎるから引き返すよう諭しています。結局は玄奘三蔵の決意の強さに折れ、以降は旅の苦難から守護してくれたようです。
この伝説から水神のイメージが付いたようで、日本の深大寺にも水神として祈願された伝説が残っています。
水神のイメージが西遊記に編成される際に、水のつながりで河童になったようなのですが、立像がかなりかっこいいので、正直「弱体化させすぎでは?」と思いました。
そんな深沙大将を、今回は女性キャラとして再構築しました。
顔の特徴として大きく見開いた目と、顔の半分もあろうかという大きな口があるのですが、女性キャラとしては扱いづらかったので、目は砂漠の中から倒れた人を見つける眼力をイメージし、ドローンとしてサブキャラ化しました。大きな口は砂漠つながりで、アラブの踊り子がつけるような、フェイスベールを考えて見ました。
また、本来は怒髪天なのですが、これもそのままでは取り入れにくいので、ジャケットの襟飾りとして、シルエットを取り入れる方向に変更しています。
装飾として羽衣もあったのですが、最終出力としてシールになる予定ですので、あまり要素を入れすぎても、わかりにくくなってしまいます。今回は、左手の蛇と合わせて、体にまとう形にしてみました。
深沙大将の最大の特徴として、腹部に子供の顔が付いています。
一節では、子供に憑依する形で姿を表し、憑依した子供の顔が腹部に現れているそうです。
こちらのエピソードも、絵の要素としては面白いのですが、あまり細かい部分は見えなくなりそうだったので、今回は、目玉ドローンが収まるバックルとしてみました。
今の描き方にしてから、ここまで頭身を落としたことはなかったのですが、個人的にはよくまとまったかなと思います。「正方形は動かせる範囲が思ったよりも狭い」という感覚がありますが、その中でも動きが固くならないような見せ方が、今後の課題ですね。
シールシリーズはAGAWA様のカードショップにて販売中です。
「異・仏教伝」内容紹介動画
AGAWAさんから購入者の方がつくってくれた紹介動画をご連絡いただきました。静止画ではわかりづらい販売物の質感などの参考になりましたら幸いです。
消しゴムの再検討
最後に制作面での気づきを書きたいと思います。
「not(人生の終わり) ≒ 生涯の完成」の制作の反省で、「境界線を整えるにはブラシを切り替えた方が効果的」と書いていますが、今回の制作を振り返ってみると、消しゴムを表情のないものに変えたほうが、境界線は整えやすい様に感じました。
キャラクター制作の様に背景のないものでは、こちらの方が向いていそうなので、検証していきたいと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って