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作品の概要
その星の空には、いくつもの小さな星が浮いていました。
公国はその星からエネルギー資源を地上へ送ることを研究していました。
星の資源を摂りすぎて地上に星を落としてしまうこともありました。
星の整備が必要だとの教訓も得ました。
いくつもの試行錯誤が重ねられ、人々は星と地上を行き来しながら星との共存を図りました。
公国は研究した術式を広め、世界の発展に大きく貢献しました。
しかし、世界に豊かな星が増える中で課題が持ち上がります。
豊かになった星に、星を食い荒らす虫が現れる様になったのです。
はじめは小さい生き物ですが、星のエネルギー鉱石を食べた途端、
その虫は体積を膨張させます。
そして巨大になったその体で、さらに星を食べようと貪るのです。
星を食べなが怪虫はなにかを探すように地上を見下ろしています。その視線の先には、人々の村や街や国が映っているように見えました。
テーマ
圧倒的逆境への抵抗
モチーフ
星を喰らう巨大怪虫と討伐に挑む騎士
コンセプト
膨れ上がった課題を前にたとえ立ちすくんでも、
今ここでその膨張へ挑まなければ、その先には絶望しかない。
座してそれをまつよりも、奮い立って挑め。
挑戦課題
ブヨブヨ芋虫の描画と上下の構図
制作動画
今回の反省点
製作と同時期に構図についての勉強をしていました。上下の構図や関係性について情報を整理していたので、今作のアイデアノートを見返した時に、良い実践の場になると考えて製作を開始しました。
構図の中心となるのは上下の関係性の一つ、「上に大きなモノがくると圧迫感が強まる」というものですね。
いつもより構図についての意識が強い中での製作だったため、気づきも得られました。ここでは構図を使うタイミングについて書いていきたいと思います。
構図を使うのはラフを描き出したあと
構図の勉強をする中で「最初に構図を決めてから検討を開始するのは良くない」という内容を目にしました。読んだときはなにが良くないのかよくわかりませんでしたが、これは構図の知識を使うタイミングがあることを示しています。
アイデアスケッチや、ラフの製作などでもっとも重要になるのはアイデアを捕まえるスピードです。
アイデアが浮かんでそれを描き留めようとメモを探しているうちに、ひらめいたアイデアがどこへ消えてしまった経験は多くの方にあるのではないでしょうか?
イラストの初期段階もこれは同じで、まずはスピード重視でアイデアのラフを作ることが先決です。
では、構図の知識はいつ登場すれば良いのでしょうか?
それは、ラフの最終段階です。
よさそうな画面を「より良い画面として整える」のが構図
ここでのラフの最終段階は、画面に配置されるモノがおおよそ出揃った状態を想定します。
よさそうな画面になったので、このまま次の工程に進んでも良いのですが、構図の知識が登場するのがここになります。
この段階で構図の知識を使ってなにをするのか?
それは「中途半端さを調整して、よさそうな画面をよりよい画面へ調整」をおこないます。
今作では構図の調整として下記を行っています。
- 3分割構図になるように騎士の大きさを調整
- 迎撃の意思を強めるために、騎士の▲のシルエットの底辺が広がる様に調整
- モンスターの顔へ黄金比螺旋構図の流れになるように斧槍や触手の配置を調整
- 触手が騎士へ向けられる意図を強化するために、逆三角の配置をより鋭利に調整
最終的にはこれだけの調整をおこないましたが、これは予定したものではありません。
ラフを見直す中で向かって右手の触手に中途半端さを覚え、位置を探ったところ全体の流れとして黄金比螺旋構図っぽい印象になりました。
黄金比螺旋構図は大きな風景の要素配置として効果的です。
今回のモチーフは上空にいる巨大怪虫だったので、方向としてもよさそうです。
こうして黄金比螺旋構図を中心に中途だった要素配置を調整しまとめていきました。
構図の調整風景
アイデアはまずふくらませ、構図は意図を整理・強化するために使う
先に構図を選ばない理由はラフを作っている時の「よさそう」という感覚を大切にするためです。「~ぽい」という判断の仕方も、一見場当たり的に見えますが「自分の感じた感覚」を中心に構図の方を当てはめたということです。
「自分が感動するものでなければ、人は感動させられない」とも言われますが、少なくとも自分がよいと思ったものでなければ、イラストを完成させるのも難しいのではないかと思います。
構図は人が感じるよい画面のエッセンスです。そこには歴史があり集積知としての力があります。
ただ、描きたい・伝えたいものが「構図そのもの」ということはありませんよね。
まずは、自分の描きたい、伝えたいという感覚、よさそうという感覚を大切にし、それをよりよいものにするために構図を使って支えるという手順が良いのではないかと思います。
次回への課題
今回の製作ではブヨブヨとした芋虫の質感の気持ち悪さを描きたかったのですが、いま一歩踏み込めませんでした。
ダークファンタジーはよく目にするのですが、描くとなると知識がたりなさそうです。
このあたりは少制作などを計画化し、勉強していきたいと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って