今回はア・メリカさんの「“主線なし”イラストの描き方」を拝読しました。
日本では線画を軸にしたイラストが主流となります。ア・メリカさんが描かれるような“主線なし”イラストは、どちらかというと海外で多い作品の印象です。
本書は、主線なしイラストの中でもデフォルメの強いイラスト。絵本のようなイラストの書き方について、ア・メリカさんが研究してきた描き方を紹介しようという内容になります。
イラストの方向性として、自分は陰影が強く、立体感のある作品を目指しています。イラストの方向性は少し変わりますが、主線に頼らないイラストという点で、向上のヒントをえたいと思い読んでみました。
目次:
“主線なし”イラスト、そのポイントは?
本書を読んでポイントだと思ったのは次の3点になります。
- 脳はエッジを探すのが得意。そのためにコントラスト差を意識して作る
- パット見てなにかわかるシルエットで有ることが大切
- 「ハイキー」「ローキー」など写真の知識が活かせる
ここでは特に重要だと感じた「脳はエッジを探すのが得意。そのためにコントラスト差を意識して作る」について、感想も含めて書いていきたいと思います。
「線がない」からこそコントラストが最も大切
ここでは、線画ありのイラストを「主線あり」イラスト、線画を使わないイラストを「主線なしイラスト」としますね。
一般的にコントラストとは、並んで置かれたものの差をいいます。
主線なしイラストでのコントラストの重要性は、次のような極端な例を考えるとわかりやすいと思います。
「白い背景に置かれた、白い円」を描いてみましょう。
主線ありイラストでは、単純に円を描けばいいですよね。
対して主線なしイラストでは、いくら円を描いたとしてもそれを見ることができません。これは背景と円のコントラストがないためですね。円を見せようとするなら、背景と円のコントラストを広げる必要があります。前例を解決するのであれば、背景を黒に近づけるのが一案です。
それ、グレースケールにしてもカッコいい?
上記は極端な例ですが、特にカラーで制作を進めている場合、明暗のコントラストが近づいてしまうことがあります。別の記事でも書きましたが、自分も以前はコントラストの少ない選び方になっていました。
「かっこいい絵は白黒にしてもかっこいい」と言われますが、グレースケールに変換してコントラストを確認するのは良い手段だと思いました。特に描き込む前に主題周辺のコントラストはしっかり作れているかを確認していきたいですね。
主線ありイラストでは、基本的に線画は暗い色になるため、周囲とのコントラストが大きくなります。主線なしイラストでは線ではなく、塊として周囲とのコントラストを考える必要があります。だからこそ、わかりやすいシルエットが大切になってくるのですね。
資料に忠実かより、そのコントラストを真似る
本書を読んで「イラストを作る」という意識の重要性を改めて感じました。
参考資料の重要性に気づいてから、制作の際にはできるだけ資料を集めるようにしています。しかし、「資料を元に正しく描く」ということに意識が向きすぎ、画面構成としてのコントラストづくりの意識は低くなっていたと反省しました。
コントラストについては他の本でも目にしていましたが、本書の様にデフォルメが強く、情報量を抑えたイラストのほうが、説明やその効果がよりわかりやすいと感じました。
その他の点についても、調査を行い別の記事として書いていければと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って
「「”主線なし”イラストの描き方」からコントラスト設計の重要性を学ぶ」への1件のフィードバック
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