差し込み印刷を利用して展示準備を効率化しよう

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プライベートでは印刷物を作ることは少なくなりましたが、仕事ではその機会が意外とまだあるように思います。「同じ内容を複数の書式で印刷したいとき」+「この書式をこの先何度か使う予定があるとき」ここに当てはまる状況であれば、Word + Excelでの差し込み印刷が便利です。今回は出展作品につけるキャプションを例に手順を共有したいと思います。

皆さんはMicrosoft Wordの差し込み印刷を使ったことがありますか?

差し込み印刷ははがきの宛名欄や封筒の住所、ラベルシールなどを効率よく作成できる機能です。

ここだけみるとデジタルデバイスがコミュニケーションの主流となっている現在、さほど必要なさそうな機能に見えますが、下記のようなときに役に立ちます。


  1. 同じ書式で内容の一部を変えて印刷したいとき
  2. 同じ内容を複数の書式で印刷したいとき
  3. 上記の書式をこの先何度か使う予定があるとき

プライベートでは使う機会が少ないですが、仕事では案内状や掲示物など、印刷物を使う機会はまだあるように感じます。見直してみると作業効率の向上の手助けになるのではないでしょうか?


出展では印刷するものがいくつかあります

印刷物というところでは、作品の展示の準備で役に立っています。出展にあたり現在は下記のものを準備しています。

  • 展示用/販売用の複製画
  • ポストカード
  • 展示用のキャプション

差し込み印刷を使っているのは主に作品タイトルの印刷になります。それぞれ印刷サイズも位置もことなるので「同じ内容を複数の書式で印刷したいとき」+「上記の書式をこの先何度か使う予定があるとき」になります。

内容をそれぞれ書き換えて印刷することもできるのですが、展示へ3点出すとして3種類のファイルを3回ずつ編集する必要があります。

差し込み印刷を使うと、1つのファイルを修正するだけになります。


差し込み印刷の概要

差し込み印刷を行うためには、下記の2つのファイルを準備します。

  1. 印刷書式を整えたWord文章
  2. 差し込む情報を記入したExcelリスト

※差し込み印刷でのファイルの組み合わせはいくつかありますが、ここでは多くの方が触ったことがありそうということでExcelでリストを作成します。(以下、差し込みリスト)


差し込みリストの準備

まずはExcelで差し込みリストを作ります。

差し込みリストは単純な形であることが前提です。

差し込みリストのデータは1行を1つのまとまりとして扱います。1行目には列ごとでみたタイトルを、2行目からが実際のデータになります。

【Excel】差し込みリスト例
【Excel】差し込みリスト例

仕事場などでは、Excel上の見た目を整えるために、1行目・1列目で余白を作っている様なリストを見かけることがありますが、差し込み印刷ではこれは複雑なリストになり使うことができません。

入力を終えたら名前をつけて保存します。今回は単純に「差し込みリスト」とします。


Wordで印刷書式をつくる

次にWordファイルを作成し印刷の書式設定をします。

ここではキャプションを例にします。

【Word】名刺サイズのファイルを用意する
【Word】名刺サイズのファイルを用意する

WordファイルとExcelファイルの紐付け

まずは、Wordファイルと先程作った差し込みリストを紐つけます。

「差し込み」→ 「宛先の選択」→ 「既存のリストを選択」と操作します。

【Word】「差し込み文章」→ 「宛先の選択」→ 「既存のリストを使用」
【Word】「差し込み文章」→ 「宛先の選択」→ 「既存のリストを使用」

すると、ダイアログボックスが開きます。

初めてだと戸惑うと思いますが、Wordが「リストファイルはどこにありますか?」と聞いていると考えてください。先程作成した差し込みリストまで操作し、ファイルをクリックした後「開く」をクリックします。

【Word】「作成した差し込みリストを選択」→ 「開く」
【Word】「作成した差し込みリストを選択」→ 「開く」

Excelファイルが開かれると「テーブルの選択」というダイアログが表示されます。

差し込み印刷をする時WordはExcelファイル内の1つのシートしかみることができません。テーブルの選択とは「どのシートを見ればいいですか?」ということです。

【Word】読み込みたいリストを作ったシートを選択(先頭行をタイトル行として使用するにチェックがあることを確認)
【Word】読み込みたいリストを作ったシートを選択(先頭行をタイトル行として使用するにチェックがあることを確認)

リストを作ったシートをクリックします。このときダイアログ内左下の「先頭行をタイトルとして~」というチェックボックスに、チェックが入っていることを確認します。

「OK」をクリックします。

ここまでの操作でWordファイルと差し込みリストを紐付けることができました。


データをどこに表示するか?を設定する

この後は、Excelファイル内の情報をどこに表示するかを設定します。

まずは、情報を配置したい場所をクリックし、入力カーソルを移動します。

「差し込み印刷」→ 「差し込みフィールドの挿入」と操作すると、差し込みリストに準備したタイトルがリストとして表示されます。

作品のタイトルを表示したいの「タイトル」をクリックします。

【Word】「差し込み文章」→ 「差し込みフィールドの挿入」→ 差し込みリストの列タイトルを選択(ここではタイトル)
【Word】「差し込み文章」→ 「差し込みフィールドの挿入」→ 差し込みリストの列タイトルを選択(ここではタイトル)

ただ、このままでは実際のデータが見えていません。

【Word】差し込みリストの「タイトル」が挿入された(あれ?内容が見えない?)
【Word】差し込みリストの「タイトル」が挿入された(あれ?内容が見えない?)

「差し込み文章」→ 「結果のプレビュー」をクリックします。すると、差し込みリストの1行目のデータが表示されます。

【Word】差し込みリストの内容がプレビューされました
【Word】差し込みリストの内容がプレビューされました

同じ手順で他の項目も配置します。

また、配置したデータは通常の文字と同じ様に書式の設定ができます。文字の大きさやフォントなどを変更し、印刷書式を整えます。

次のデータを確認したい場合、先程の結果のプレビューの右側にデータを移動するボタンが並んでいます。

【Word】プレビューの移動
【Word】プレビューの移動

ボタンをクリックすると、データが変わっていることがわかります。


差し込み印刷の設定は、いつもと手順が違います

最後に印刷です。

通常Wordファイルの印刷をするとき「ファイル」→ 「印刷」とたどりますよね?

差し込み文章を設定したWordファイルもこの方法で印刷はできるのですが、印刷されるのは現在表示されている状態だけです。

差し込み文章では、差し込みリストで準備したデータを一通り印刷したい場合がほとんどです。

この場合「差し込み文章」→ 「完了と差し込み」→ 「文章の印刷」をクリックします。

【Word】「差し込み文章」→ 「完了と差し込み」→ 「文章の印刷」
【Word】「差し込み文章」→ 「完了と差し込み」→ 「文章の印刷」

ダイアログが表示されます。

基本は「すべて」を選択します。それ以外の意味については、下記を参照してください。

【Word】印刷する範囲を指定します
【Word】印刷する範囲を指定します
  • すべて=差し込みリストの全データを印刷
  • 現在のレコード=現在表示されている状態で1回印刷
  • 最初のレコード~最後のレコード=タイトル行を抜かして数えたデータからデータまでを印刷

「OK」をクリックすると、プリンターの設定画面が開かれます。

印刷設定を確認し、印刷します。

同じ手順で他の印刷書式も準備します。


まとめ

事前にこの準備を行えば、次回からは差し込みリストの修正を行い、描くWordファイルで印刷を行うだけになります。

印刷物の準備は意外と時間がかかります。

今回のように同じ情報を複数の書式へ反映する場合は差し込み印刷を検討してみてはいかがでしょうか?


追伸:

差し込み文章を設定したWordファイルを開くと、下記のようなメッセージが表示されます。

【Word】(意訳)関連付けられたExcelファイルを読み直しますが、よろしいですか?
【Word(意訳)】関連付けられたExcelファイルを読み直しますが、よろしいですか?

普段目にすることはないので戸惑うかと思いますが、意訳するなら「紐付けられた差し込みリストを読み込みますが、よろしいですか?」という意味です。次回開くときに驚かないよう、頭の片隅においておいてください。



この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。