今回は和の要素を意識しての制作です。
仕事としての制作では、日本やアジアなどオリエンタルな要素を入れて描く機会がおおいたため、自主制作ではしばらく避けていました。
久しぶりに筋肉も描きたくなったので、般若をテーマに制作したいと思います。
面は顔全体が隠れるイメージがあったのですが、写真資料を確認してみると実際の能面は顔の輪郭よりも結構小さいんですよね。こういうところで資料を見る大切さを感じます。もともと持っていた大きさのイメージは、子供の頃の屋台のお面のイメージなのかな。
閑話休題
今回の制作を通して気づいたのは下記の3点です。
- 面展開が理解できてくる=参考資料内で同じ向きの面を見つけるのが速くなる
- 画面でなんとなく良さそうでは、印刷では通用しない
- 求めるライティングの写真資料はなかなか見つからない
ここでは特に印象が強かった 「面展開が理解できてくる=参考資料内で同じ向きの面を見つけるのが速くなる」を中心に書いていきたいと思います。
今回制作をしていて、以前よりもライティングの資料を見うことがスムーズになっていると感じました。
ライティングの資料は3Dモデル制作ソフトの「POSER」を使っています。あくまで参考資料なので細かく作り込むことはありません。衣服のシワなどは人形に当たる光の面から、ある程度想像しながら描き進めます。
以前は「ここかな?」と描く前に迷い、描いた後でも「こうじゃない」と資料を繰り返し見ていましたが、今回の制作中は「ここはここと同じ面」と素早く確認ができ、迷いが減っていると感じました。面展開への理解が少し深まったように思います。
厚塗りの技術を向上させるために大切なこととして「参考資料をよく見る」というものがあります。以前は「形をよく見る」ことがポイントだと考えていたのですが、最近では「面を色の変化ごとに分け、その変化を見る」ことがより大切になると考えています。
厚塗りでラフを制作する場合、陰影の検討を大きく4つに分けています。光の当たる面、固有色の面、陰の面、反射光・回り込みの面です。
描き込みではここから面を増やしていくのですが、参考資料を見ながらラフを考える場合、逆に情報を整理して面を減らします。
この「面を減らしてラフを作る、面を増やしながら描きこみをする」という作業を繰り返すことが、面展開の理解につながった様に思います。多い情報を整理する中で、その逆をたどって情報を増やすイメージが自分の中に培われるのだと思います。今後も資料をよく見て、色の変化・面の変化をもっとスムーズにイラストへ取り入れられる様に精進していきたいですね。
最後に、今回の反省として検討・検証していきたいことは下記の3点になります。
- 筋肉の参考資料を集める
- 模様は一旦白黒で詳細を考える
- もう少しエッジの硬いブラシを試す
特に筋肉の参考資料は重要になると感じています。
3D資料では「力が入っている感じ」は出ません。世の中にはそこまで表現できるソフトもあるようなのですが、使いこなせそうにはないですね。自分の使い方ではあくまで光の方向に検討をつけるところまでです。筋肉の隆起は見せ場になるので、もっと質感高く描き込めるようになりたいものです。
イメージ通りの写真を探すのが難しく、というか現状探し出せる方が少ない状況です。逆に模写できる題材を探して、イラストに落とし込む方向で経験を積んでいくほうが良いのかもしれませんね。これは試してみようかなと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って
久しぶりに制作動画を作ってみたので見てみてくださいな。