今回は吉田 典生さんの『「手で書くこと」が知性を引き出す』を拝読しました。
はじめにを読んで、手で書くことが瞑想につながるという点が気になりました。
ここのところ自分の行動を振り返ると、気が散っている、混乱しているように感じます。落ち着いた心で日々を過ごすヒントが得られそうです。
目次:
著者概要
吉田 典生さんは一般社団法人メインドフルリーダーシップインスティチュートの理事をされている方です。
「脳科学等による検証を背景にしたマインドフルネスとリーダーシップ開発メソッドを提供し、リーダーや組織の変容を促進すること」を旨とし、活動されている団体ですね。
書籍概要
本書は吉田さんたちが手掛けているマインドフルネス実践法のうちの一つ「ジャーナリング」についてまとめています。
「ジャーナリング」は書く瞑想とのこと。
過去の経験から書くことで気持ちの整理がつくことを実感していました。思い付きを書くことは続けているのですが、気になることが多いのか、どうも気持ちが落ち着かないときがあります。
自分の感覚だけではなく、もう少し体系的な知識から学びたいと思い、読んでみました。
ここではジャーナリングの基本と、実際にジャーナリングを試して特に重要だと感じたポイントについて書いていきたいと思います。
まずは足元を確認すること
ジャーナリングは書く瞑想。手段は異なりますが目的は同じです。
瞑想の目的は今に意識を向けること。
混乱があると人の意識は未来や過去に向かいやすくなります。遠くばかりを見ていると、足元がおぼつかなくなるのは思考も同じです。
では、書くことでどうやって今に意識を向けるのでしょうか?
時間を決め、書きつづける
書くことで今に意識を向けるポイントは2つあります。
1. 時間を決め、思い浮かんだすべてを書き続けること
2. 書くことがなくなっても、時間内は書き続けること
はじめた直後はすんなりと書き進められます。しかし、時間の後半や何度かジャーナリングを行っていくと、書くことがもうないという状態になります。ここで手を止めないことが重要なようです。
書くことがなくなっても「もう書くことがないな」「まだ時間にならないのかな」など、現状に対する感想は浮かんできます。ジャーナリングではそれもすべて書いていきます。
ただ、こんなことを書く意味があるのでしょうか?
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思考は卵の様な形をしているのかもしれません。
すらすら書き進められる内容は、世の中に反応した思考。卵の殻にあたります。普段はこの部分が気になっているので、思考も殻の表面をなぞるように回っています。
書くことで殻を一度わきによけ、その向こうをのぞいてみると一旦何もない部分が現れます。ここは卵の白身の部分ですね。
思い付きをメモするだけでは、書くことがなくなった時点で手を止めてしまいますが、ジャーナリングでは書くことがなくなっても書く。そのため、白身の部分もわきによけられ、普段は見ることがない黄身の部分が見えてきます。
この卵の黄身が本来の自分の思考であり、ジャーナリング=瞑想で確認したい今になります。
時間がたつと一度よけた殻や白身は元に戻りますが、ジャーナリングでは戻るまでの時間が長いように感じます。書きだした内容が目に見える形で残っているので、頭の中になくても大丈夫だという安心感が良い影響を与えてくれているようです。
内容を整理し、卵の殻と白身を薄くする
書きだすことでわきによけた殻と白身については、それが何であるか整理する時間を別にとります。
書き出すことだけに集中してみると、浮かんでくる思考は思っている以上にあちこちに飛び、順序もバラバラだということが分かります。書き出しと整理を同時にやろうとすると、多くの思考を書き漏らすことが分かりました。この状態では本来の自分の思考にたどり着く前に時間がきてしまいます。
ジャーナリングの目的は今この時に意識を向けることです。
優先度は下がりますがよけた殻と白身について整理することは別の効果があります。
それは、卵の殻と白身の厚さを薄くすることです。
書き出した思考の中には単純に情報に反応しただけの感想や、今すぐには対応できない思考など様々なものがあります。それを分類し、整理し、不要なものを捨てることで、次のジャーナリングでは卵の黄身=本来の自分の思考へより早くたどり着くことができます。これは、より今の自分と向き合う時間が増えるということです。
情報を整理する方法については「GTD」が良いのではないかと考えています。書籍を読み返したところなので、整理できたら情報を共有したいと思います。
アナログかデジタルか
本書では手書きでのジャーナリングが推奨されています。
ジャーナリングの方法については意見の分かれるところだと本書にもありました。また、アナログ=手書きの利点は記憶への定着率にあるようです。
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記憶への定着が良いということは思考と心が整理された状態がより長く続くのだと思います。
ただ、個人的にはデジタル=キーボード入力の方が良いかと考えています。
思考と書き出しの速度がほぼ同じであることが最大の理由です。また、パソコン操作の時間が長いためか漢字が出てこないことがあり、そこで書き出しが止まってしまうことがあります。
書き出すことで本来の自分の思考により早く到達し、本来の自分の思考とより長く対話する時間を確保しようとするのであれば、今はキーボード入力の方が良さそうです。
実践した感触としては、書き出しの際には改行を入れないほうが良さそうです。これは整理はしないということにつながるのですが、操作への慣れによっては読点、句読点も入れなくてよいのではないかと思います。
書き出す時間は書くことに集中。整理の時間は整理に集中。分けることでより効果が高まると実感しています。
まとめ
思いついたらメモを取ることは以前からの習慣でしたが、メモを取るだけでは思考がすっきりしないこともありました。ジャーナリングを試してから考えてみると、書ききれなかった思考が残っているという感覚が、スッキリしない原因になっているのではないかと思いました。
メモを取ることは思考を深める点において効果が高い習慣ですが、惰性となっている部分もあったと思います。ジャーナリングを取り入れることでより効果的な習慣になるという手ごたえを得られたのが今回の収穫ですね。
「『「手で書くこと」が知性を引き出す』から書くことで今を確認するための基本を学ぶ」への1件のフィードバック