『色塗りチュートリアル』から効率的なレイヤー調整と効果の使い方を学ぶ

『色塗りチュートリアル』から効率的なレイヤー調整と効果の使い方を学ぶ

アニメ的なデフォルメに加えて立体感のあるイラスト。韓国の方に多いイメージがありますね。立体を作る基本である光と色の関係をイラスト中心に学べる本です。効率化の点で調整レイヤーとレイヤー効果を使っての補助光を作るテクニックはとても参考になりました。解説はPhotoshopですがほかのツールにも流用可能な内容だと思います。

今回はパク・リノさんの『色塗りチュートリアル』を拝読しました。

詳細情報がないのですが、名前の響きから韓国の方かなと思います。

個人的なイメージでは、韓国のイラストは顔は日本的なデフォルメですが全体としては立体感がしっかりしているイラストだと思います。

私が描いているイラストも方向性としては同じです。今回は特にレイヤー効果の効果的な使い方という点で参考にしたいと思い読んでみました。

雑感

基本的な手順は「線画制作→ 着色」と進みます。
同じ手順で現在は平面っぽい塗り方になっているけど、もっと立体的なイラストにしたいと考えている方には参考になる書籍だと思います。

工夫の面では「レイヤー効果、調整レイヤーの使い方を研究して、効率的に使っている」と感じました。私は愚直に描いてしまうほうなので、効率化という点で見習いたいと思いました。

特に補助光の作り方についてはとても参考になりました
今回はこの点を中心に書いていきたいと思います。

補助光は立体を描いた後に

光に色がある場合、一つの立体の中でも場所によって色が変化します。愚直に描こうとすると、立体の調整と色の変化を同時に進める必要があるので結構混乱します。
描画の技量が高い方はできるそうですが、まだまだその域に達していません。

本書で紹介されている手順は、一旦固有色の色相を中心に立体を起こし、補助光は後から入れる方法です。手順の概要を下記にまとめます。

  1. 固有色の色相を中心に立体を描く
  2. 要素ごとにレイヤーを統合する
  3. 統合レイヤーをコピーし、補助光の色・強さに調整する
  4. レイヤーマスクで適用範囲を調整する

― P78~

この方法は、ある程度描写が整い完成した絵に使うのが効果的です。

描画対象に差す光源に使うのではなく、補助的な照明やリムライト(逆光)など、小さな部分に強い光が現れる効果を表現したいときに使うとよいでしょう。

『色塗りチュートリアル』/P81

この方法であれば、立体を起こす際には主光源を捕えていればよいので混乱が少なくなりそうです。

また、立体をしっかり描いた後からレイヤー効果だけで色を変化させようとしても、思った変化にならなかったり、立体感が損なわれたりしていました。

上記手順では立体そのもの色を変化させ、部分的に適用しているので調整もしやすそうです。

この手順を参考に自分のイラストでも、ぜひ検証してみたいですね。

色相の変化は色領域の指定で

立体を描く際に同一の色相の明暗だけで描いていくと違和感がでます
これは自然光の下では主光源の太陽光にも色があり、影は背景や周辺の色が反射光として入るためです。

同一の立体の中でも明暗に加え色相も変化させたほうが自然な立体になりますが、この2つを同時に変化させるのはなかなか大変です。

本書ではこの部分を色領域の指定を使って変化させるテクニックが紹介されています。
手順の概要を下記にまとめます。

  1. 固有色の明暗を中心に立体を描く
  2. 色領域の指定でハイライト・中間色・シャドウと分けて選択範囲を調整する
  3. 選択範囲の色を調整する

― P88~

最近では同一立体内で色相を変化させながら着色するのも楽しくなってきたのですが、画面上で混色を行っていると彩度が低くなるのが気になっていました

上記の手順では色領域ごとに色だけではなく彩度も調整できそうなので、この手順も検証してみたいと思います。

同じ方法で、影の範囲の色も補正できます。

対象の固有色が現れる部分を補正すると、対象の色があいまいになることもあるので、注意してごく一部だけ補正します。

『色塗りチュートリアル』/p88

光と色の知識

立体を描く基礎として光と色の考え方が掲載されています。内容は他の書籍でも見られるものですが、イラストを中心に説明されているので、初めて触れるという方には眺めやすいと思います。

その中に「Subsurface Scatting(表面化の散乱:P138)」についての解説がありました。
肌を塗るときに日のあたっている部分と、影の境界付近が彩度の高い色になるというのもこれにあたります。

写真の色収差がそう見せているのだと思っていたので、半透明の物体(肌も実は半透明)を描くときの理屈としてよい学びの機会になりました。


この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って


<参考>

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。

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