最近「自分の描き方は、境界が曖昧すぎるのではないか?」と感じていました。
製作速度向上のヒントを探す中で、よー清水さんのPSDファイルを拝見する機会があったのですが、書籍上でみるよりも、境界をはっきりと制作されていました。
選択範囲としてスパッと切り取ったか、ハードエッジの消しゴムで消した印象です。
先日の「印象派への旅 海運王の夢」展でも、境界について確認することができ、「境界をシャープにすることが、完成度を短時間で引き上げるヒントになる」と考えました。
今回は、ここまで使ってきたブラシを一旦やめ、ハードエッジのブラシを準備して試作をしてみたいと思います。
結果としては、製作速度向上と、塗りやすさの面で可能性を掴むことができました。
感想としては大きく3点になります。
1点目は、「筆圧の影響が少ないブラシのほうが、自分の”塗る”という感覚と合う」ということです。
Photoshopのブラシオプションには「不透明度に常に筆圧を使用」というものがあり、これまでは基本的にオンにして使っていました。今回はハードエッジ+この設定をオフにしての制作でしたが、こちらの方が塗りの工程に合っている様に感じました。
筆圧の影響が少ないと、描き味しては柔らかく感じます。絵の具をつけた筆で描いているときの感覚に近く、それに比べると今まで使っていたブラシは、かなり硬かったのだなと、驚きました。今回のブラシが絵の具なら、今までのブラシは色鉛筆ですね。
「不透明度に常に筆圧を使用」のオプションは、ボケ足の長いブラシを使う場合や、質感を整える際のグラデーションの調整では、強い味方になりますが、基本的には切っていていいように思います。このオプションには、キーボードショートカットが割り当てられるので、必要に応じて切り替えるのが良さそうですね。
2点目は、「調整用のブラシの調整が必要」ということです。
調整用ブラシとは、主にグラデーションの調整に使っていたブラシ群です。
制作開始時は、カラーラフまではハードエッジのブラシで作成し、質感の調整はこれまでのブラシを使うつもりでいましたが、実際に調整を開始してみるとボケ感が強すぎて、ピントがズレた様になってしまいました。
ハードエッジのブラシを使うのであれば、調整用のブラシも流量の影響を下げたものを使い、粒状のエッジで混色が発生するものを準備すると良さそうです。
また、遠景・近景の花を今回作成したブラシで描いて見たのですが、ブラシの角が鋭利に出過ぎてしまいました。ここは、同じハードエッジの楕円のブラシを作っておくのが良さそうですね。
3点目は、「ぼかしは効果である」ということの再認識です。
今回ボケ足の長いブラシを使ったのは、キャラクタの顔周辺、光があたっている部分になります。グレア(眩しさとしての光のにじみ)として乗せていますが、他がくっきりしているので、より効果が出ているように感じました。
過去にもグレアを狙ったことはあったのですが、効果が出ているのか疑問に思うこともありました。今回はくっきりとボケの差を、今まで以上に作れたのが良かったのだと思います。
画面を作る上で、差の設計は重要だと、改めて感じました。
描き味が大きく変わったため、ブラシに振り回されている感が残りましたが、可能性は掴むことができました。使いこなせるように精進していきたいですね。
今回は自分の前進を確認する意味も含め、2014年に制作したイラストを下敷きにしています。
奥行きの取り方は、成長できたのではないかと思います。