「死神蜘蛛」 その影が視界をかすめたあたりから何かが狂いだした。 その姿を目にした仲間が、まるで魂を抜かれたかのように力なく佇んでいる。 叱咤の声と仲間を揺り動かすその腕も一つ、また一つと力を失っていく。こだまするように聞こえていた混乱が刈り取られていくかのように消えていく。 木々の音だけが耳に響く。気が付けば自分の息の音さえ聞こえなくなっていた。 音もなく現れた敵のその貌を見たとき、私は私達の敗北を悟った。