「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」を読んで考えたこと

wp_seo_bookreview

今回は苅野 進さんの「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」を拝読しました。

大人こども問わず、自分で課題を見つけ出す力をつけていくことが、今の社会では課題になっています。さらに一歩踏み込み、見つけた課題の中から「最も効果的な問題 を選択できる こと」が、より大切になっています。では、最も効果的な課題とは何でしょうか?
それは「解くことができ、解くことで効果が出る課題」です。これを探し、選択するためには、どう考えていけばいいのか。その力を付ける方法を紹介しようというのが、本書の概要になります。


社会で取り組む問題の多くは答えがない

学生時代に比べ、社会に出てからは解答のない課題へ取り組むことが増えますよね。個人的にも、解答のない課題に対して、現在の自分が出せる最善を答えることが、仕事だと考えています。最善を更新していくためにも、新たな考え方のヒントを得られないかと読んでみました。


大切だと感じた内容は、下記の3点になります。

  • 課題は複雑なのではなく、解決すると前提条件が変わることが多い
  • データは安心のために集めない。現状との差を確認するために集める
  • マニュアルは経験則からの「このくらい」「ある程度」を補うために作る

ここでは、特に重要だと感じた「課題は複雑なのではなく、解決すると前提条件が変わることが多い」について、感想も含めて書いていきたいと思います。


問題の前提条件はどう変わるのか?

現実の問題、特に仕事として問題の解決を検討し始めると、多くの場合は課題が複数出てきます。このとき「今解決できる効果的な課題を一つ解決しよう」というのが本書の主張の一つになります。なぜなら「課題は複雑なのではなく、解決すると前提条件が変わることが多い」からです。

この点、前職のシステムエンジニアと、現在のイラスト制作で比較してみると、複雑さという点で異なり、時間を得るという目的の点は共通になるなと思いました。


システムエンジニア時代にみる前提条件の変化

システムエンジニア時代の優先順位の切り口は「影響範囲」でした。
ソフトウェア設計では、関数という使い回しができるパーツをいくつも作って行きます。その関数を使う機会が多ければ多いほど、関数の重要度は上がりますので、これは影響範囲を考える一つの要素になります。

使う機会が多い関数から着手していくと、いくつかのプログラムは作った関数を組み合わせるだけになります。これは、課題の前提条件が変わる良い例ではないかと思います。

システムエンジニア時代に行っていたシステム設計は、課題をある程度区切ることができました。これは簡単というよりも、見通しを立てやすいという点で、複雑さの少ない問題だったのではないかと思います。


イラスト制作にみる前提条件の変化

対して、イラスト制作ではこの複雑さが高いように思います。なぜなら、見え方というのは相対的である場合がほとんどだからです。同じものを描いても、隣り合う色、明るさ、密度など複数の要素でイラストの印象が常に変化します。

イラスト制作の優先度の切り口は「見せ場の要素」です。
描き方によると思いますが、自分の場合描き始めたときにすべての要素がイメージできているわけではありません。特に描き込みの密度は全体の様子を確認しながら随時調整していきます。

先にも触れましたが、イラスト内での要素は基本的には相対的になります。脇役が主役よりも目立つ様に描けているか? 主題と副題の関係性は意図したように見えているか?こういった相互関係から画面を作っていくため、互いに関係し合う課題のより例ではないかと思います。


優先度をつけて行動することは、解決の為の時間を捻出すること

ここまでのように取り組む問題によって課題の複雑さ・関連性は変わってきます。しかし、「今解決できる最も効果的な課題を、まずは一つ解決する」という姿勢は共通点になります。そして、その目的は前提条件を変えることと、時間を確保することにあると考えます。

仕事=問題解決には、基本的には期限があります。
そして、検討した課題の中には、現状解決方法がわからないものもあります。
現状は解決できないという前提条件を変えるため、それでも条件が足りない場合の調査の時間を確保するため、「 今解決できる最も効果的な課題を、まずは一つ解決する 」ことが大切なのだと、改めて思いました。


この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って


<参考>

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。