目次:
作品の概要
その丘を端まで行くと大人の背よりも大きな岩が並んでいます。
その向こうは深い崖になっていて、親たちはその岩の列を目印に子供たちに危険な場所を教えていました。
危険な場所だと教えられても好奇心旺盛な子は向こう側を見たがり、見えそうな隙間を見つけると駆け寄ります。
それを見つけては慌てる大人たちに怒られるのは日常の風景の一幕でした。
岩壁の向こうを見てみたい。
それは子供たちが岩壁に近づく理由の一つではあるのですが、別の理由が子供たちの間に流れている噂にありました。
「いいかい。僕たちだけの秘密だよ。」
実はあの岩壁には注意深く探っていくと一箇所だけ子供がやっと通れる隙間が空いている場所があるんだ。
隙間は直ぐに行き止まりなんだけど、真っ暗な中を手探りすると、高さの違うところに別の隙間があるんだ。
そうやって隙間を探して奥に進むと突然壁の向こうに出られる。
本当さ。壁の向こうだよ。
でも、それだけじゃないんだ。
落っこちないように注意して、下を見てごらんよ。
細い坂道があるんだ。
その先に何があるかって?
うん、これは本当に言っちゃダメなんだ。その先はたどり着いた人だけの秘密だからね。
テーマ
好奇心と探索
モチーフ
岩場の秘密基地
コンセプト
その話はほとんどの子供が聞いたことがある。ただ、それを確かめようと行動を起こす子供は少なく、たどり着ける子供は更に少ない。
挑戦課題
岩らしい岩の描き方の研究
制作動画
今回の反省点
「祭壇」の制作の中で岩の描き方に課題を感じました。
今作では研究のために岩を主題とし、ここではその反省をまとめていきたいとおもいます。
シルエットは濃淡で描く
私の場合ラフのスタートはシルエットの検討になります。
岩を描く場合も同じですが、この段階ではあまり細かい部分を描かない方が良さそうです。
まずは、大きなシルエットをいくつか重ね、シルエットのリズムを確認します。
この段階では重なった岩の境界がなんとなくわかる程度の濃淡をつけます。
同じ面に同じ色を置く
シルエットの検討が終わったら、次は面の整理をしていきます。
まシルエットの中で一番わかりやすいものを探して、光と影を入れていきます。
最初の一つを基準に、他のシルエットの同じ面に同じ色を置いていきます。
ここの整理はグレースケールで行うと進めやすいですね。輝度だけを捉えていけばいいのでシンプルに作業できます。
同じ面に同じ色を置くのはキャラクターを描く場合も同じですが、岩は面がよりはっきりしているので、面をしっかり合わせた方が全体としてまとまりが良いとおもいます。
面のエッジは暗くしてから調整する
面が接するエッジをはっきりさせたい場合、一度暗い色でエッジ整え、本来その面に塗りたい色でもう一度なぞると良さそうです。
同じ場所を2回描きますが、これは完璧に重ねる必要はありません。
むしろ少しガタついたランダムさがあった方が自然物の感じが出るとおもいます。
一度くらい色で塗ると、隣あう面のコントラストが上がり、エッジがシャープに見えます。
ただし、この暗い色の幅が広すぎると凹んで見えるため、本来の面の色で上塗りをして調整します。
この時は、画面のどこに焦点を置くかを予め検討しておいた方が良さそうです。
個人的な感覚ですが、風景を描いていると意識的な焦点がいつもよりもぼやけている様に感じます。
その状態で均一に画面を整えてしまうと、時間をかけた割にボヤけた印象がなくなりません。
まずは焦点を決め、そこを中心にエッジを整えていくのが良いとおもいました。
次回への課題
今回の制作では着色に多くの時間がかかりました。
色を決めるのに迷ったというよりは、狙った色を出すための設定に迷っていた時間が長かった様です。
最終的な画面は緑でまとめたかったので、グラデーションマップで下地を作りました。岩は茶系の色を乗せたかったのですが、レイヤー効果で乗せると色がくすんでしまいなかなか求めた色になりませんでした。
試行錯誤は必要ですが、手探りでやっている部分は多いと感じます。
レイヤー効果を使うにしても、一つずつを試して偶然性に頼るのではなく、効果を理解して再現性を高めたいと思いました。
また、出来上がった直後は良さそうに感じたのですが、少し時間をおいて見てみると岩に情報量が少ないようにも感じます。
表情としては悪くないと思うのですが、今から見てみると森の中なので木漏れ日の表現の一部として木陰のシルエットを落としても良かったなと思いました。
このあたりの舞台設計に想像力が足りないなと感じました。
想像力を高める一つの方法として、良い画面を多く見ることが考えられます。
現状インプットが不足していると思いましたので、機会を増やしていこうと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って
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