「日本の民俗信仰を知るための30章」から祭りをモチーフにする際の願いの考え方を改めて学ぶ

イラスト制作で日本のことを調べることが多かったため、もう一歩踏み込んで日本のことが知りたくなりました。今回は現在も各地に残る祭りの移り変わりとその起源を探る書籍を読んでみました。ヒントを得るために参考にすることが多いので、祭りの起源に込められた願いについても考えていきたいですね。

イラスト制作のご依頼で和のモチーフに触れる機会がおおくあります。正直イラストを仕事にするまでは日本の民族信仰への興味はほとんどありませんでした。ただ、調べていくと小さい頃に参加した行事や、これまでに集まった断片的な知識がつながっていくので、最近では興味深く類書を読んでいます。

今回は八木 透さんの「日本の民俗信仰を知るための30章」を拝読しました。

民俗信仰についてはインターネットで調べることもできます。ただ、掲載されている情報は表層的な情報と感じることもあります。その信仰がどんな考えから始まったのか、何がルーツとなったのか。もう一歩踏み込んだ情報がほしいときは書籍をあたるほうが情報を得やすいと思います。いま興味がある分野ということもあり、今後の制作のヒントも得たいと読んでみました。


はじめに

本書の概要は、京都周辺を中心に現代に残る祭りの始まりを探り、どの様に風流化(見る人を意識してみせるための形へ変化すること)していったのかを辿ってみようというものです。

ここでは、現代に残る祭りを題材とし、イラストを検討する場合について書いてみたいと思います。

生活に必要なものから離れた祭り

祭りは日本の民俗信仰を代表するものの一つです。人々は祭りを行うことで生活のリズムを作ってきました。このリズムというのがハレ・ケと呼ばれるものです。

祭りは基本的に季節の節目に行われます。祭り(=ハレ)に向けて生活を集中していき、祭りを追えると生活を緩ませる(=ケ)というのが生活の大きなサイクルになります。

このサイクルは多くの人が農耕に携わる中で培われて来ました。

始まりは生活に区切りを付けるという必要からでしたが、生活様式が変わった現代では、そもそも生活のリズムと祭りのリズムにズレが生じています。

祭りは楽しいものですが、楽しさを作るためにはある程度の面倒を負う必要があります。

現代では、生活とのズレからくる負担を大きく感じやすいのだと思います。

ルーツを知った上で、新しい組み合わせや解釈を描きたい

ただ、生活様式の変化や生活水準の上昇は祭りに悪い影響ばかりを与えたわけではありません。その一つが「風流化」です。祭りは本来、関わる人達の為に行われるものでした。風流化とは時代の流れの中で、見る側へ意識を向け、見る人が楽しめるように変化していくことです

風流化のおかげで祭りそのものが華やかになり、参考にできるモチーフも多くあります。ここは描き手としてはありがたい変化だと思います。

ただ、本書を読んでいて忘れたくないなと思ったのが、祭りの起源にあるのが人の願いだということです

来年も豊作になりますように。みんなが健康であれますように。こういった願いが祭りを作って来ました。

日本のことを調べていると、時代の変化の中で廃れてしまったお祭りや習慣に出会うことがあります。マイナーな題材が好きなこともあり、そういうものを見ると心が惹かれます。

こういったものをイラストとして描く際にも、できるだけそのルーツ=込められた願いを知り、それを元に新しい組み合わせや解釈を選択していけば、日本に居ること、日本のことをイラストに描く意味も出てくるのではないかと思いました。

今後も興味を持って日本のことを調べていきたいと思います。

<参考>

投稿者: 0.1

イラストレーター/0.1up project著者 厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。