「イラストで食う技術」から模写の反省点と個性のよりどころを学ぶ

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制作にデッサンドールを使用しているとの情報を見て興味を持ったのですが。それよりも、イラスト制作に向かう考え方の方が興味深く、参考になりましたので共有したいと思います。特に模写についての項目はその反省も含めてもっと前に知っていたらなと思いました。

今回はニリツさんの「イラストで食う技術」を拝読しました。

以前にソサエティ5.0について書いたのですが、その直後にAmazonのレビューで3Dのデッサンドールをイラストのベースに使っているという内容を見て、興味を持ちました。


制作の際の考え方がより興味深い

製作工程を読んでみると、構図が複雑な場合のガイドとして使用されているようで、制作上の重きはなさそうです。それよりも、イラスト制作へ取り組む際の考え方のほうが読んでいて参考になりました。


考え方を伝えることを目的としているため、内容としては文章が多めです。技術書というよりも、ビジネス書に近い印象でした。専門学校で講師もされている方なので、文章が多くてもわかり易い内容でした。


一番参考になるのは模写・トレスの項目

特に参考になったのは練習法としての模写・トレスの項目です。

練習の手順だけではなく、反省の内容が掲載されています。考え方を学ぶという点では、ここが参考になると思いました。「模写・トレスが練習として効果的だ」とは目にしますが、どこに着目しているのか、どういう点が学べているかまで、読める機会は少ないと思います。興味深く読ませていただきました。

「漫然と練習していてもダメ」ともよく言われます。
では、練習サイクルとしてどうすればいいの?という一つの解答になると思います。


その他、内容として大切だと思ったものは下記の2点になります。

  • 見える個性は技術(学べるし、持ち替えることもできる)
  • グラデーションマップでライティングの効果をそれることができる

ここでは、特に重要だと感じた「見える個性は技術(学べるし、持ち替えることもできる)」について、感想も含めて書いていきたいと思います。


「見せる個性は技術」ってどういうこと?

才能信仰を捨てること。学びと練習を積み上げること。
この2つが本書の基礎になります。そこで重要になってくるのが「自分にとってのイラスト制作の立ち位置」です。


ニリツさんにとってのイラスト制作とは?

書籍の内容からまとめると、ニリツさんにとってのイラスト制作は「コミュニケーション」。ポイントは「共感性」であり、「反応を得やすい表現方法」が学びと練習の重点になります。

どちらかといえば他者を基準にしているので、その変化に合わせて「共感性」も「反応を得やすい表現方法」もアップグレードが必要です。これを繰り返し、イラストとして表現するので、見える個性・技術は変化していくというわけですね。


個性は製作者の選択に現れる

一見個性を捨てている様にも読めましたが、個性が現れると考えるポイントが違いました。個性が見えるポイントは「表現方法・技術の選択」です。ここを読んで、違和感が溶け、腑に落ちました。

自分は厚塗りでイラストを制作しています。これは「存在感・重さ」を感じるイラストを作りたいと考えているためです。日本の主流からは外れていますが、イラスト制作の動機が自己表現寄りなので、「描きたいイラストを描く」という方向に重点があります。これも一つの選択ですね。

先のことから考えると「共感性」「反応の得やすさ」は少ないので、ニリツさんはこの描き方は選ばないでしょう。

その人がどの方向を目指しているのか。まずはそこで大きく表現方法の選択が変わります。流行であれ、好みであれ、その後のイラストを強化する技術の選択も、個々人が全く同じ選択をすることは、まずないでしょうね。


「マイナーなものが好き」は流行と無関係?

考えてみれば、自己表現の方向が強い自分の場合でも、時流と全く関係がないとは言えないなと思いました。

マイナーなものを好む傾向があり、時流を見てあまり選ばれない方を選ぶ様なところがあります。案件ではそういった変な要素がフックになっているようで、そういった「らしさ」をご要望としていただくことが多いです。しかし、進行してみると最近らしいまとめ方も求められるので、そこの両立が課題になります。

この場合でも、「0.1らしさ」を作っているのがここまでの自分の習性・選択であり、イラストとして求められるまとめ方は「今風」ということになります。ならば、自分の描くイラストの見え方も時流に合わせて変わっていくのでしょうね。


あなたはどんな選択をしていますか?


この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って


<参考>

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。

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