この地を見下ろす 高き霊峰は 天へと通じるといわれています
寄る辺を失った魂は この山の 人には見えない道を通り 天へと帰っていきます
しかし あまりに多くの魂が 天への道を求めると 山に眠る地の竜を揺り起こしてしまいます
これは魂が天への道を求めながら 未練から手を伸ばし 地の竜を引っ掻くからだといわれています
古くには 多くの人々が 地の竜の力に飲まれてしまいました
あまりに大きな力を恐れた人々は 特に力の強い水神様に 天へ帰る魂と竜の力の管理をおねがいしました
人々は水神様の強い火除けの力を称えていましたが 彼女が神様の中でもとりわけ気の強い性格で
荒ぶる地の竜に張り合えることを知っていたからだということは ここだけの秘密にしておきたいところ
水神様はもちろん人々の考えに気づいていましたが その年一番のお神酒と一緒に 人々の考えを笑って飲んでくれました
水神様は 今も霊峰の頂上で 人々の健やかなる日々を 守ってくれています
目次:
作品の概要
本作は「幻想藝術考14」展に向けての制作です。
春を感じる作品を制作したいと考え、桜をイメージした「パステルブルー+パステルピンク」という春色の組み合わせで画面をまとめることを目指しています。
名前の読みは「あさまのおうかみ」です。
テーマ
春の桜と火山
モチーフ
木花咲耶姫
コンセプト
木花咲耶姫を下敷きに現代要素とファンタジー要素を取り入れてキャラクター化する
挑戦課題
「春色(パステルブルー+パステルピンク)」のカラーイメージでまとめること
発見/制作後記
以前にキャラクターデザインのコンテストへ応募するために、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)について調べたことがあります。
富士山とかかわりが深い神様ということは知っていましたが、調べるまではどういった経緯で祭神となったのかは知りませんでした。日本のシンボルの一つに祭られた神様についてより一歩踏み込んで理解する良い機会になりました。
コンテストではよい結果を得られませんでしたが、春をテーマに制作を行おうと考えた際に調べた内容を思い出しました。当時のキャラクターをそのまま描き直すのではなく、今回は調べた内容やコンセプトを引き継いで再デザインしてみました。
描き切れていないと感じていた部分も、今回は構想通りにまとめられたと思います。
思考ツールをうまく使う
今回は完成形のイメージを持ってのスタートです。ただ、頭の中のイメージは大概細部が詰められていないので、そこは組み上げ式で詰めていきます。
今回は思考ツールを使い、イメージを固めていきました。
要素を紐づけて連想していくツールとしては、マインドマップが有名です。ただ、いくつかのツールを試してみたところ、下記の点が気になりました。
要素の紐づけが階層式であること
マインドマップでは、中心の要素から広げていくことが基本になります。しかし、個人的な感覚では細かい要素が結合して、中心の要素につながっていきます。
整理していくと最終的には階層式になるかもしれません。しかし、思考の始まりでは階層式で思考を進めることに違和感を覚えます。
要素の位置が自由に移動できないこと
また、要素同士の距離感も自由にできない点にも違和感がありました。振り返ってみると、要素間の距離で関連性の強弱をとらえようとしているようで、その距離感が強制されてしまうことが違和感になっているようです。
自分が求めているツールはマインドマップツールよりも、もっと自由度の高いもののようです。手書きであれば自由度は確保されるのですが、要素の位置をあとから変えられない、履歴として保存しにくい点に難を感じています。
「Scapple」を使ったら?
そんなわがままに答えてくれたツールが「Scapple」でした。
※公式サイトの動画は英語解説になります。使用感については別途記事にまとめたいと思います。
要素の配置は自由。要素同士もグループ化できて、文字はもちろん画像も取り込んで要素として扱えます。イラストなど、イメージを組み上げていくにはよいツールだと思います。
このツールで思考を要素のつながりを整理していくと、連想する要素間のつながりは思っていた以上に複雑なものだとわかりました。(連想のきっかけが色の関連性だったり、印象だったりとその時によって変わるため)
これを階層構造に整理するのはおそらく無理でしょう。
誰かに見せる資料を作るという点ではほかのマインドマップツールを使い、情報の枝葉を落として整理した方がよいと思います。
ただ今回のように「イメージを組み上げる・イメージの細部を詰める」という点では、その枝葉こそがほかの要素と結びつくために必要になります。要素間の関連性の自由度、配置の自由度の2点から強力なツールだと思いました。
イメージ構築では、その過程で余計な違和感がないということが重要だと、改めておもいました。
細部を詰めていくには動画が参考になる
衣装を考えるときに「どうやって着ているのか?」という点が気になります。装飾性を高めるにしても、キャラクタが実際に動く時にはどうかと考えます。
特に違う時代の衣装では、ここの知識が重要になってくると考えています。ただ、写真などの平面資料だけで、この知識を補完することは難しいと感じていました。
こんな時はyoutubeの動画を参考にしています。特に着付けの動画が参考になります。
着物のシルエットは知っていても、なぜそのシルエットになるのか、そのシルエットを作るためにどういう点に気を付けているのか。ここを知っていると、例えばポーズをとらせるときにも(着物を着ていると、できるできないという点で)選択肢が変わりますね。
今回動画を参考にすることで、着物のしわの少ない理由を理解することができました。実際には見える部分のしわをきれいに消し、見えない部分でしわができています。ここを理解していると、動きを描く際にも説得力のある描き込みができると思いました。
着付けの動画については今後も機会を見つけて、見ていきたいですね。
今回特に参考になった動画は下記になります。
まとめ
個人的な感覚であれば、今回たどり着いた「Scapple」は発想を書き留め、連想を見える化するためのツール。試用したマインドマップツールはプレゼンテーションのためのツールだと思います。
最終的な見た目が近しいこともあり、使い始めるまでは効果のほどがわからなかったのですが、今後も「Scapple」はイラストを組み上げる際に活躍していってくれそうです。
画像を気軽に要素に使えるので、動画画面のキャプチャ画像も気軽に取り込めます。文字だけのメモでは見返しづらい気づきなどもより直感的に整理できると思いますので、これからも使っていきたいと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って