更科姫・紅葉/紅葉

鬼桃語り「更科姫・紅葉」

長野県戸隠を舞台にした鬼女伝説の紅葉をモチーフにキャラクターデザインをさせていただきました。野心家で気分屋。色々悪事にも手を染めている女性ですが、キャラクターとしては創作意欲をそそられますね。現代にいきていたら会社を興していそうな人ですね。

モデルは長野県・戸隠を舞台にしたの鬼女伝説の貴女紅葉です。


鬼桃語り「更科姫・紅葉」
更科姫・紅葉

参考にした小松和彦さんの「日本妖怪異聞録」で読むと、紅葉はその何恥じない鬼女ですね。


説話意訳「鬼女紅葉」

子がほしいと他化自在天(第六天魔王)に祈願した両親のもとに誕生。

才色兼備の娘に育つも、京で貴族と結婚したいからと自分に一目惚れした相手の元には幻術で作ったデコイを送って、もらった結婚の支度金で京に出ます。

京で源経基の正夫人に琴の腕を見込まれ奉公に出ることに。奉公先の貴族の側室になりますが、正室になりたいからと自分を奉公させてくれていた正夫人を呪殺しようとします。

結局バレて戸隠に送り返されるのですが、周囲には「正室の嫉妬を買って、無実の罪で山奥に捨てられた」と説いて回ります。

この当時は立場をつくるために病を直して歩いていたため周囲からは「生き神」と呼ばれ、不自由のない暮らしをすることに。

この後近場の盗賊を牛耳って義賊の真似事をしていた時期もあったようですが、紅葉の最後の良心であった父親がなくなると、状況は一変。人々を殺戮して回るようになります。

最終的には神仏の加護を受けた武将に打たれて終わります。


おとうさん大好き?

悪鬼なのですが、物語を読んでいると父親の言うことはよく聞いていたのではないかと思いました。

育った地方を逃げ出す際、自分に一目惚れした相手の家からの嫁入りの話を幻術で躱していますが、京に出て貴族へ嫁入りしようという点は以前から両親とも話していたようです。幻術を使ったのも高家からの申し出をどう断ったものかと悩む父に「私、幻術使えるから。それを使って逃げよう。」と提案したようです。

京に出てからも両親と共に商いをする間は、芸の腕を磨くために真摯に練習に勤しんでいますし、戸隠に送り返された後も父親が死ぬまでは周囲の人々を助けながら生きています。

鬼としての性分が出てたのは側室として貴族の屋敷に住むようになってからと、父親が死んだ後です。語られる力の強さからいえば、父親を殺すことも容易かったでしょうが、そばにいる間はおとなしくしているので、随分となついていたのだと思います。

そう考えると案外人間味を感じました。


キャラクター化

キャラクターとして再構築するにあたり、状況を少し変えることにしました。

地方出身で野心家。新しもの好き。
時代から考えれば男尊女卑の世界ですが、自分の才覚で生きていきたいと考えるタイプ。京で自分の力を試そうと頑張るけど、時代の流れもありなかなかうまくいかずに、ちょっと荒む。そんな中、法に触れることに手を出して戸隠に陸の島流しに。

才能はあるので周囲に求められることは直ぐにでき、生活も安定するものの才能の大きさからすぐに退屈になってしまい、悪い遊びに手を出して裏社会へのパイプを構築していく。ご禁制の品を密輸して儲けていたところを見つかり。お縄になってしまう。


元の物語の流れを借りながら、才能を活かしきれなかった女傑の方向で考えて見ました。

下半身が蛇なのは同じ戸隠の九頭龍伝説から要素を借りたためですね。


人の血を飲んでいたと言われていますが、多分密輸したワインだったんじゃないでしょうか。

正規のルートで海外へのつてが出来ていたら、豪腕の女社長になっていたんじゃないかと思います。

鬼桃語り「紅葉」
紅葉

進化前は幼少期の紅葉ちゃん。
普段小さな子はあまり描かないので、挑戦でしたね。

2018年11月より実装

投稿者: 0.1

厚塗りで「存在感や重さ、質感による説得力」のあるイラストを目指しています。 日本では線画をベースとしたイラストが主流ですが、そこから外れたモノもイラストの世界を広げる為に必要だと考えています。「世界観にもう一味試したい」そんなときには、ぜひお声がけください。

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