今回は榎本 秋さん/鳥居 彩音さんの『イラスト構図の考え方』を拝読しました。
著者の榎本 秋さんはアミューズメントメディア総合学院を始め数多くの学校で講師をされながら、作家事務所も経営されている方です。
まずは本書の目指すところを見ていきましょう。
イラストレーターを目指す上で基本的なデサン力とデジタルツールを扱う力は必須だ。…(中略)…この努力を同じだけした時に他者より抜きん出て有利になる要素がある。構図と色味だ。…(中略)…構図と色味を理解し、考えてイラストを作っていけば、同じ努力をした人の2倍も3倍も目を引くイラストを作ることができる。
P.2(はじめに)
ここではより多くのページが割り当てられている構図についてみていきましょう。
目次:
構図を考えることは、効果的なパターンを選ぶこと
本書を読むと構図は考えるというよりも、目的に合わせて当てはめると考えられそうです。構図を勉強する時は種類だけをおぼるよりも、構図の効果・印象を覚え、求める印象から逆引きした方が良さそうです。
まずは写真を取る際にも使われている構図の基本的なパターンを見てみよう。それに沿って描きたいものを配置していけば効果的な見せ方をできるだろう。
P.18
たくさんのキャラクターを配置したいなら 日の丸構図 キャラクターをバランス良く配置したいなら 日の丸構図
二分割構図
三角構図
シンメトリー構図視線をうまく誘導したいなら 3分割構図
螺旋構図
放射構図奥行き感を大事にしたいなら 放射構図 キャラクターの印象を強くしたいなら 額縁構図 全体的にバランスの良い構図にしたいなら 黄金比構図
ただ、ここまでの経験から自分の求めるイラストが制作開始時にはわかっていない場合もあります。
この場合、いきなり構図を考え始めてもあまり意味はなさそうです。
そこで考えるのは、これから描くイラストのストーリーです。
構図を決めるのはストーリー
イラストにする前後がどうなっているかある程度考えたら、それをもっと掘り下げよう。ストーリーを作ってしまうのだ。
これまでキャラクターや舞台設定を考えてきたことで、前後でどんな会話をするか、その後どうなってしまうのかは比較的考えやすいかと思う。そしてそれが面白ければ、イラストになった際も印象的なワンシーンとなるはずだ。
P.58
ここで想定されているイラストはストーリーの1場面を切り取ったものです。その前後を含めたいくつもの場面の中から選りすぐった場面を切り取ることでそのイラストの魅力が高まります。
たしかに描かれているキャラクターの人となりが想像できたり、イラストに描かれた場面の前後が想像できたりと、頭の中でキャラクターが勝手に動くイラストはとても魅力的に感じます。
振り返ってみると、描きたいイラストがパッと思いつく時は場面が頭の中に浮かび、その前後のストーリーが勝手に流れていました。
好き勝手に頭の中を流れているので気に留めていませんでしたが、これがイラストの背景・情報を補完する物語となっていたようです。。
情報を集めイラストを組み上げていくときは、その逆を意識的に行うと良さそうですね。
ビューポイントを決める
どの構図にも共通して使える考え方としてビューポイントがありました。
ビューポイントは視線誘導と同義といってもいい。…(中略)…ここでは画面内における要素の配置のバランスを調整することで、見てほしい箇所へ誘う方法を紹介する。…(中略)…まずは画面のどのあたりにビューポイントを置きたいかを決めよう。…(中略)…その部分に小物や背景(建物)などの要素を集中させ、他の部分はあっさりさせておく。
P.100
上記の「画面のどのあたりに~」というのは選んだ構図によって変わりそうです。ビューポイントを考えやすい例が3分割構図だと思います。
3分割構図では分割線の交点か線上に重要な要素を配置することがセオリーです。
つまり、同じ考え方でビューポイントを設定すれば構図の効果をより高める事ができそうですね。
まとめ
構図は種類を覚えるよりも、それを選ぶことで得られる効果・印象を逆引きできるようにまとめておく方が今後の制作に役立ちそうです。
デジタルツールにまとめておけば検索ができるので良さそうですね。
逆引きで構図を選べるサービス・アプリなどを探すか、なければ調べながらコンテンツにまとめてみたいと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って
「「イラスト構図の考え方」から学ぶ構図は効果と印象に合わせて選ぶこと」への1件のフィードバック