今回は美学館デッサンスクールの「比較でわかる初心者デッサンの教科書」を拝読しました。
リアリティのあるイラストを描くヒントを求めて本を読んでいると、参考資料を見て描くことの重要性がよく目に留まります。
資料を見て描く練習の為に模写を始めてみてわかったことですが、見たことがある・知っているということと、見た上で描けることの間にはかなりの開きがあります。模写は観ることの練習というのが実感です。
模写の練習に手応えを覚えた頃に、デッサンを学ぶ意味も観る練習にあるということを目にしました。
ここまでしっかりと学んだことがなかったので、改めてデッサンの必要性を考えるには良いタイミングかと思い、手にとってみました。
目次:
本書概要
本書はデッサンに触れたことはあるけど、うまく描けなかった人に向けて書かれた本です。
また、人物のデッサンではなく静物のデッサンについての参考書になります。背景を含めたイラストを制作しようとすると、静物を描く機会も増えていくので参考になると思いました。
多くのデッサン教室では「まずは描いてみましょう」からスタートします。しかし、残念ながらいきなり実践から入ってもうまくいきません。「もっとよく見ましょう」とのアドバイスを受け、途方に暮れた人も多いのではないでしょうか?
デッサンにおいて描くことははじめの一歩ではありません。
その前に道具や画材の使い方、単純なモチーフを描くためのセオリーがあります。デッサンに触れてみてよくわからなかったという方、もう一度一歩目からはじめてみませんか?というのが本書の概要です。
デジタル環境で制作をしていると、画材の扱いについては予備知識になりますが、デッサンの初級モチーフ(円柱・円錐・球・立方体)の描き方はとても参考になりました。この本には5年前に出会いたかったですね。
円柱は軸に対してブラシを平行に動かすのがセオリー
基本形の中でも、円柱の失敗例はセオリーを知らず意識していないとやりがちなものだと感じました。
円柱の局面を描くときのセオリーは「軸と平行に筆を動かす」ことです。
細長い面をつなげて局面を作っていくイメージです。失敗例は局面に沿って筆を動かしています。輪っかを重ねて円柱を作っていくイメージですね。
私の場合、円柱に対して主光源の光の方向が交差する場合に失敗例の描き方をしていると思います。軸を意識して描いてみると、たしかにこちらのほうがより早く整うと感じました。
セオリーを知っていると、描いている最中の「なんか違う」と画面をこねている時間を減らせるのがいいですね。
おわりに
他のセオリーも知ってしまえば「なんで今までそうしなかったんだろう?」と思うものが多くありました。この辺を基礎知識として持っているかどうかは、画力を上げるにしても時間密度という意味で違いが出てくるんだろうなと思います。
うん、5年前に出会っておきたかったですね。
本書は基本的には鉛筆デッサンの内容になりますが、厚塗りの様に筆跡を残す様な描き方をするなら、デジタル制作でも参考になる内容がいくつもあります。
描いていて「なんか違う」にぶつかったら、画面をこねる前に本書を開きたいと思います。
この断片があなたの星へ続く道を、少しでも照らすことを願って